外国人雇用の指針が改正に

「外国人労働者の雇用管理改善等に関して事業主が適切対処するため指針」
の改正についてパブリックコメントの募集が出ています。

「外国人労働者の雇用管理改善等に関して事業主が適切対処するため指針」は、
外国人を雇用している会社等が外国人の労働環境について

適切に対処できるように講ずべき必要な措置について定めたものです。
いわば、外国人雇用のためのガイドのような存在です。

4月1日に新たな在留資格「特定技能」ができますが、これに伴い
外国人との共生社会の実現に向けた環境整備が必要との方針が示されています。

改正の内容

1. 外国人労働者の雇用管理改善に関する基本的考え方

・外国人が日本で企業や地域社会の一員として活躍するためには、
魅力ある職場環境の整備や適切な支援等が重要となること

2. 募集及び採用の適正化

・募集を行う際の労働条件の明示について、
書面および電子メールに加えて、
本人が希望する場合には、FAXやSNS等によることも可能となる。
・職業紹介事業者等から斡旋を受ける際は、外国人労働者から
違約金、補償金の徴収等を行う者が介在しないようにする
・労働契約締結時に、労働条件を変更等する場合は外国人労働者が変更内容を理解できるように明示するよう努めること。

3.適正な労働条件の確保

○労働契約締結時の労働条件の明示
書面に加え、本人が希望する場合は、
FAX、電子メール、SNSなどでも可。

○賃金の支払い
・最低賃金以上はもちろん、基本給、割増賃金等の賃金について、原則として全額を支払わなければならない。
(例外は、法令での定め等)
・食費や居住費等を控除する場合には、不当な額にならないようにすること。
・労働契約に付随して、貯蓄の契約をさせる等はしてはならない。
労働者の希望する貯蓄金を委託を受けて管理する場合は、労使協定の締結と届出等が必要です。

○労働時間等
・時間外・休日労働の上限規制を遵守し、削減に努めること。
・労働時間の状況を客観的な方法等で把握すること。
・年次有給休暇を与え、年次有給休暇管理簿を調整すること。
○関連法令等の周知
・就業規則、労使協定等を周知する。
○寄宿舎
・労働者の健康等の保持に必要な措置を講じること
○公正な待遇の確保
・短時間・有期雇用・派遣労働者の待遇について、通常の労働者との間で不合理と認められる待遇差を設けてはならない。
・職務の内容等が通常の労働者と同じ短時間・有期雇用・派遣労働者の待遇について、差別的取り扱いをしてはならない。
・派遣労働の場合の待遇について、労使協定で一定の事項を定めたときは、その労使協定の待遇を確保すること
・短時間・有期雇用・派遣労働者から求めがあった場合は、待遇の相違の内容・理由等を説明すること、その際、母国語または平易な日本語等で、理解できる方法で説明するよう努めること。

4.安全衛生の確保

・法定の安全衛生教育を実施する際、母国語、平易な日本語、視聴覚教材等、
外国人労働者が内容を理解できる方法で行うこと。
・法定のストレスチェックや、長時間労働者に対する面接指導を実施すること。
その際、母国語、平易な日本語等で、目的・内容等について説明するよう努めること。

5.社会保険・労働保険の適用

・外国人労働者が離職した際、遅滞なく被保険者証を回収し、
国民健康保険・国民年金の加入手続きが必要になる旨を伝えること。
・健康保険・厚生年金保険が適用にならない事業所では、国民健康保険・国民年金への
加入手続きの説明、窓口案内、同行等、必要な支援を行うよう努めること。
・労働保険の適用が任意の事業所では、
外国人労働者を含む労働者の希望等に応じて、労働保険の加入申請を行うこと。
・労災保険給付の請求などについて、家族などからの相談についても応じるよう努めること。
・障害年金や傷病手当金が支給され得ることについて伝えるよう努めること
・脱退一時金のせいきゅうを検討する際、将来的な年金受給の可能性などに注意するよう伝えるよう努めること。

6.適切な人事管理等

○人事管理・生活支援
・社内規定その他文書の多言語化等、職場で円滑なコミュニケーションが取れるよう環境整備に努めること。
・評価・賃金決定、配置など人事管理に関する運用の公正性の確保など、
多用な人材が適切な待遇の下で能力発揮しやすい環境整備に努めること
・外国人労働者が、地域社会での行事や活動に参加する機会を設けるよう努めること。
・居住地周辺の行政・医療・金融機関等に関する情報提供や同行等、
必要な生活支援に務めること。
○苦情・相談体制の整備
・外国人労働者のための苦情・相談体制を整備し、必要に応じて行政機関の相談窓口を教えるよう努めること
○帰国等の援助
・やむを得ない理由で帰国費用を捻出できない場合は、費用を負担するよう努めること。・一時帰国を希望する場合は、休暇の取得の配慮など援助するよう努めること
○請負を行う事業主に関する事項
・外国人労働者の希望で労働契約の期間をできる限り長期のものにするなど、
安定的な雇用の確保に努めること
・注文者である他の事業主の事業所内で働かせる場合は、
注文者が使用者だと誤解させないように、業務の処理の進行管理を行い、
就業事業所内で適切に雇用管理を行うこと。
○ともに就労するうえで必要な配慮
・日本人と外国人が文化、習慣等の多様性を理解しつつ、ともに就労できるよう努めること。

7.解雇・雇い止の予防

・解雇や雇い止を安易に行わないようにすること
・妊娠・出産等を理由とした解雇などは行ってはならない

8.在留資格に応じた措置

・特定技能の在留資格を有する者については、入管法規定の雇用契約の基準や履行すべき義務などに留意すること。
・留学生については、在留資格の変更の審査に要する期間を考慮して採用活動を行うよう留意する。
インターンシップなどの実施に当たっては、本来の趣旨を損なわないように留意する。
アルバイト等で雇用する場合は、資格外活動許可が必要であること、活動に制限があることに留意する。
・その他、在留資格ごとに設けられた要件を遵守する。

平成31年4月1日適用期日予定です。

 

適正な労働条件の確保については、日本人労働者と同様の注意点で、働き方改革とリンクするところがあります。
適切な人事管理等については、ここでは「努めること。」と努力義務ですが、「特定技能」では義務となっています。「特定技能」の基準を他の在留資格でも当てはめる感じでしょうか。
外国人を雇う際に、会社に求められることも大きくなっているように見えますが、今までが杜撰すぎただけで、節度を持ってフツウにしていれば何の問題もないようにも思います。

 

ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

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