在留資格の取消し

おはようございます。
中国語で在留資格と労務相談ができる行政書士大西祐子です。


2018年の在留資格取消し件数

法務省から2018年の在留資格取消件数が公表されています。
2018年に在留資格が取消されたのは832件。

2017年の385件より2倍以上に増えており、過去最多です。

ちなみに過去の取消数は

2017年:385件

2016年:294件

2015年:306件

2014年:286件

2013年:269件

ですので、圧倒的多数です。

入管も頑張っているのでしょう。

 

中でも目立って増えているのが技能実習と留学。

永住者も微増しています。

技能実習は1~3号合わせて2017年には8件だったのが、2018年には152件。

留学は172件から412件になっています。

留学は、2016年には86件であったことを考えると、ずいぶん増えています。

 

国籍・地域別ではベトナム、中国、ネパールと続き、昨年と同様です。

いずれも最多が留学生。

 

在留資格取り消し手続きを開始したものの、手続き中に出国したために取り消し処分に至らなかったものも446件あったようです。

今後、外国人雇用の届出にも在留カード番号の記載が始まり、雇用保険に入っていない方の届出も厳しくなってきそうですので、在留資格取消件数もますます増えていくのかもしれません。

在留資格取消の具体例

不正行為等

○ 上陸拒否事由に該当しているにも関わらず、上陸拒否事由に該当していないと偽って上陸許可を受けたこと(入管法第22条の4第1項第1号)

・ 退去強制を受けた場合、一定期間は日本に上陸することはできません。過去に退去強制を受けて出国し、上陸拒否期間中であったにもかかわらず、上陸拒否事由に該当しない旨偽って上陸許可を受けたケース。

・ 覚せい剤等の薬物所持は、上陸拒否事由です。上陸申請時に覚醒剤等の薬物を所持していない旨申告して、上陸拒否事由に該当しないと偽って上陸許可を受けたが、その後に税関で薬物を所持していたことが判明したけーす。

 

○ 上陸拒否事由以外でも、偽りその他不正の手段によって上陸許可等を受けたこと(入管法第22条の4第1項第2号)

・ 在留資格「日本人の配偶者等」を得るために、日本人との婚姻を偽装して戸籍全部事項証明書等を提出し、在留期間更新許可を受けたケース。いわゆる偽装結婚も在留資格取消事由です。

・ 在留資格「技術・人文知識・国際業務」を得るために,実際には働かない会社を勤務先として、偽の職務内容で申請を行い、在留資格への変更許可を受けたケース。

・ 在留資格「経営・管理」を得るために、会社としての実態があるように装い、虚偽の の所在地で申請を行い、在留資格への変更許可を受けた。

 

○ 前の2つの他にも、不実の記載のある文書や図画の提出・提示によって上陸許可等を受けたこと(入管法第22条の4第1項第3号)

・ 実際には働かない会社を勤務先として記載した申請書を提出し、在留資格「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更許可を受けた。

・ 在留資格「技術・人文知識・国際業務」をもって在留する夫について、実際には働いていない会社を勤務先とすることで、夫の扶養を受けるとして妻が在留資格「家族滞在」の在留期間更新許可を受けた。

・ 夫が身分事項を偽って不法入国し、自分の永住許可に際して在日親族として、夫の虚偽の身分事項を記載した申請書を提出して永住許可を受けた。

 

日本での活動

○ 入管法別表第1の在留資格で日本に在留する方は、在留資格に応じた活動を行っていなければなりません。この活動を行っておらず、しかも他の活動を行う、または行おうとして在留している場合も取消し事由にあたります。(入管法第22条の4第1項第5号)

・ 留学生が学校を除籍された後に、アルバイトを行って在留していた。

・ 技能実習生が実習実施先から失踪後に、他の会社で稼働して在留していた。

・ 在留資格「技術・人文知識・国際業務」で在留する方が、雇用先を退職後に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に応じた活動以外の就労活動を行っていた。

 

○ 入管法別表第1の在留資格で日本に在留する方が、在留資格に応じた活動を3月(高度専門職は6月)以上行わないで在留している場合も取消し事由となります(入管法第22条の4第1項第6号)

・ 留学生が学校を除籍された後に、3か月以上日本に在留していた。

・ 在留資格「技能実習」で在留する方が、実習先から失踪した後、親戚宅に身を寄せて技能実習を行わずに3か月以上日本に在留していた。

・ 夫に扶養されて在留資格「家族滞在」で在留している妻が、夫と離婚した後も引き続き、3か月以上日本に在留していた。

 

○ 「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格を持っている方が、在留資格に応じた活動を6月以上行わないで在留していること(入管法第22条の4第1項第7号)

・ 在留資格「日本人の配偶者等」で在留している方が、日本人配偶者と離婚した後も引き続き6か月以上本邦に在留していた。

在留資格とは別の活動をした場合も取消し事由となりますが、在留資格の活動をしていない場合も取消自由となるのです。

 

届出

○ 届出住居地から退去した後、90日以内に新住居地を届け出ないこと(入管法第22条の4第1項第9号)

・ 在留資格「技能実習」で在留している方が、実習先から失踪して届出住居地(実習先の寮)を退去してから90日以内に新住居地を届け出なかった。

 

○ 虚偽の住居地を届け出たこと(入管法第22条の4第1項第10号)

・ 本国の妻を呼び寄せるに当たって虚偽の住居地を届け出た。

きちんと届出をしていなければ、在留資格が取消されます。また、更新や変更の際も、届出をしているかが問われます。在留管理をするためにも、居所や所属先を把握することが基本となり、届出は重要になるのです。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。
今日も良い一日をお過ごしください!

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