サービス業に就ける元留学生

おはようございます。
中国語が話せる行政書士大西祐子でございます。


日本の大学や大学院を卒業して、日本語を用いた仕事をする場合、「特定活動」の在留資格が認められることになりました。
この「特定活動」についてのガイドラインが出されています。

制度の概要

日本へ来られている外国人留学生が、日本の大学を卒業した場合に、大学で習得した知識・能力などの他に、留学生としての経験を通じて得た高い日本語能力を活かせば、幅広い業務に従事することが認められます。

従来の「技術・人文知識・国際業務」などでは認められなかった業務(一般的なサービス業や製造業)についても、要件を満たせば認められることになります。

ただし、弁護士や税理士等の法律上資格が必要となる業務や、風俗関係業務は認められません。

また、もっぱらサービス業や製造業務に従事することは要件を満たさず、翻訳・通訳の要素がある業務や、日本語でのコミュニケーションが必要となる業務がなければなりません。

 対象者

学歴

日本の大学を卒業又は大学院の課程を修了して学位を授与されていること
日本の4年制大学の卒業及び大学院の修了に限られます。
短期大学や専修学校の卒業、国の大学の卒業・大学院の修了は対象になりません。

日本語能力

・日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上

・その他大学又は大学院で「日本語」を専攻して大学を卒業

※外国の大学・大学院において日本語を専攻した場合も適合しますが、
あわせて日本の大学・大学院を卒業・修了している必要があります。

「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」について

単に雇用主等からの作業指示を理解し、自らの作業を行うだけの受動的な業務では足りません。

いわゆる「翻訳・通訳」の要素のある業務や、自ら第三者へ働きかける際に必要となる日本語能力が求められ、他者との双方向のコミュニケーションを要する業務であることを意味します。

 「本邦の大学又は大学院において修得した広い知識及び応用的能力等を活用するものと認められること」について

従事しようとする業務内容に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の対象となる学術上の素養等を背景とする一定水準以上の業務が含まれていること
または、今後そのような業務に従事することが見込まれること

具体的な活動例

ガイドラインでは次のような事例が想定されています。

 飲食店接客業

飲食店に採用され,店舗において外国人客に対する通訳を兼ねた接客業務を行うもの
(それに併せて,日本人に対する接客を行うことを含む。)

※ 厨房での皿洗いや清掃にのみ従事することは認められません。

 製造業の工場ライン

工場のラインにおいて,日本人従業員から受けた作業指示を技能実習生や他の外国人従業員に対し外国語で伝達・指導しつつ,自らもラインに入って業務を行うもの。

※ ラインで指示された作業にのみ従事することは認められません。

 小売店接客業

小売店において,仕入れや商品企画等と併せ,通訳を兼ねた外国人客に対する接客販売業務を行うもの
(それに併せて,日本人に対する接客販売業務を行うことを含む。)。

※ 商品の陳列や店舗の清掃にのみ従事することは認められません。

 ホテルサービス業

ホテルや旅館において,翻訳業務を兼ねた外国語によるホームページの開設,更新作業を行うものや,外国人客への通訳(案内),他の外国人従業員への指導を兼ねたベルスタッフやドアマンとして接客を行うもの
(それに併せて,日本人に対する接客を行うことを含む。)。

※ 客室の清掃にのみ従事することは認められません。

 タクシードライバー

タクシー会社に採用され,観光客(集客)のための企画・立案を行いつつ,自ら通訳を兼ねた観光案内を行うタクシードライバーとして活動するもの
(それに併せて,通常のタクシードライバーとして乗務することを含む。)。

※ 車両の整備や清掃のみに従事することは認められません。

 介護サービス業

介護施設において,外国人従業員や技能実習生への指導を行いながら,外国人利用者を含む利用者との間の意思疎通を図り,介護業務に従事するもの。

※ 施設内の清掃や衣服の洗濯のみに従事することは認められません。

 契約形態等

雇用形態としては次の条件があります。

①法務大臣から指定された日本の機関との契約に基づくこと

②常勤の職員として、その契約した機関の業務に従事すること

次の「指定書」がパスポートに添付されます。
出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の
五の表の下欄に掲げる活動を定める件(平成二年法務省告示第百三十一号)の別
表第十一に掲げる要件のいずれにも該当する者が,下記の機関との契約に基づい
て,当該機関の常勤の職員として行う当該機関の業務に従事する活動(日本語を
用いた円滑な意思疎通を要する業務に従事するものを含み,風俗営業活動(風俗
営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)
第二条第一項に規定する風俗営業,同条第六項に規定する店舗型性風俗特殊営業
若しくは同条第十一項に規定する特定遊興飲食店営業が営まれている営業所にお
いて行うもの又は同条第七項に規定する無店舗型性風俗特殊営業,同条第八項に
規定する映像送信型性風俗特殊営業,同条第九項に規定する店舗型電話異性紹介
営業若しくは同条第十項に規定する無店舗型電話異性紹介営業に従事するものを
いう。)及び法律上資格を有する者が行うこととされている業務に従事するものを
除く。)

機関名:
本店所在地:”

注意

・機関(勤務先)が指定されているため、転職する場合は変更許可申請をしなければなりません。
ただし、同一法人内の異動や配置換え等の場合は、在留資格変更手続きは必要ありません。

・常勤の職員として行う当該機関の業務に従事する活動であるため、フルタイムの職員としての稼働に限られます。
短時間のパートタイムやアルバイトは対象になりません。

・契約機関の業務に従事する活動のみが認められます。
派遣社員として派遣先において就労活動を行うことはできません。

・勤務先では社会保険への加入も必要になります。

 報酬について

日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが必要です。

一定の報酬額を基準として一律に判断するものではなく、地域や個々の企業の賃金体系を基礎に、同種の業務に従事する日本人と同等額以上であるか、また、他の企業の同種の業務に従事する者の賃金を参考にして日本人と同等額以上であるかについて判断されます。また、昇給面を含めて、日本人大卒者・院卒者の賃金が参考にされます。

また、元留学生が本国等において就職し、実務経験を積んでいる場合は、その経験に応じた報酬が支払われることとなっていることについても確認されます。

報酬については厳しくなってきていますね。

在留資格の変更・在留期間の更新許可申請の場合

次の事項についても確認されます。

 素行が不良でないこと

素行が善良であることが前提であり、良好でない場合には消極的な要素として評価されます。

特に、留学生時代中のアルバイトには注意が必要です。
資格外活動許可に違反して、週に例えば、資格外活動許可の条件に違反して、週に28時間を超えてアルバイトしていた場合は、「素行が不良」とみなされる可能性があり、在留資格の変更ができなくなります。

 入管法に定める届出等の義務を履行していること

在留カードの記載事項に係る届出

在留カードの有効期間更新申請

紛失等による在留カードの再交付申請

在留カードの返納等の義務を履行していることが必要です。

家族の滞在

扶養を受ける配偶者や子については「特定活動」(本邦大学卒業者の配偶者等)の在留資格で、日常的な活動が認められます。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。
今日も良い一日をお過ごしください!

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