改正された入管法のなかみ
新在留資格「特定技能」でできる活動
いよいよ改正入管法が成立し、内容も続々出だしてきましたが、そもそも入管法本体はどのような内容なのでしょうか?
まず、「特定技能」の在留資格をもって日本で行うことができる活動は、
1. 法務務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野(人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野として法務省令で定めるものをいう。)であって法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動
2. 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野であって法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める熟練した技能を要する業務に従事する活動」
※ 特定産業分野とは
人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野として法務省令で定めるもの
です。
ポイント
- ① 法務大臣が指定した会社等でなければ働くことができません。
- 技能実習や高度専門職と同じく、働く会社等が決められており、勝手に転職はできません。
② 働く業種は、法務省令で今後定められます。
人材確保が困難なところを補うための在留資格であることが明記されています。
③1号と2号の違い
1号は、相当程度の知識または経験が必要な技能を要する業務、
2号は、熟練した技能を要する業務 に就くことです。
どの程度の技能(知識)が必要かは、法務省令で定められます。
目的
まず変わったのが目的です。
目的に、「日本に在留するすべての外国人の在留の公正な管理」が追加されます。
入管法の目的が、出入国の管理だけでなく、日本に在留する外国人を管理することも対象となるのです。
今までの入国管理局が「出入国在留管理庁」となり、
法務省の任務が「出入国の公正な管理」から「出入国及び外国人の在留の公正な管理」に変わります。
共生社会を作っていくのは自治体やその他の省庁。
法務省や出入国在留管理庁の任務は管理することです。
出入国在留管理庁の設置
出入国在留管理庁が設置され、主任審査官の指定など、いままで法務大臣が行っていたことを出入国在留管理庁長官が行うことになります。
出入国在留管理庁の任務は次のとおりです。
- 出入国および外国人の在留の公正な管理を図ること。
- 出入国および外国人の在留の公正な管理に関連する特定の内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けること。
- 内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けるに当たり、内閣官房を助けること。
内閣や内閣官房と協力し合って、出入国と、外国人の在留の公正な管理を図る機関です。
「特定技能」の在留資格制度に関する基本方針等
特定技能の基本方針
まず政府が、基本方針を定めます。
基本方針には次の事項が定められます。
・ 特定技能の在留資格に係る制度の意義
・ 人材確保が困難な状況にあるために外国人によって人材確保すべき産業上の分野に関する基本的な事項
・ それぞれの分野で求められる人材に関する基本的な事項
・ 在留資格「特定技能」の制度運用に関する関係行政機関の事務の調整に関する基本的な事項
・ その他、在留資格「特定技能」の制度運用に関する重要事項
分野別運用方針
次に、法務大臣が、基本方針にのっとって、産業上の分野を所管する関係行政機関等と共同して、在留資格「特定技能」の制度運用に関する分野別運用方針を定めます。
分野別の基本方針には次の事項が定められます。
- 人材確保が困難な状況にあるために外国人によって人材確保すべき産業上の分野
- 産業上の分野における人材の不足の状況に関する事項
- 産業上の分野において求められる人材の基準に関する事項
- 産業上の分野における、在留資格認定証明書の交付の停止の措置または交付の再開の措置に関する事項
- その他、産業上の分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する重要事項
人材確保が必要な分野や求められる人材の基準について、政府が基本方針を出し、それに沿って法務大臣が関係省庁と連携して具体的に決めることになっています。
特定技能雇用契約
1.特定技能雇用契約は次の事項について法務省令で定める基準に適合するものでなければなりません。
・活動の内容、報酬、その他雇用関係に関する事項
・契約期間が満了した外国人の出国を確保するための措置
基準としては、外国人であることを理由として、
・報酬の決定や教育訓練の実施
・福利厚生施設の利用
・その他の待遇について、
差別的取扱いをしてはならないことなどがあります。
2.特定技能雇用契約を結ぶ会社等は、次の事項について法務省令で定める基準に適合するでなければなりません。
・適合特定技能雇用契約の適正な履行
・一号特定技能外国人支援計画の適正な実施
基準としては、雇用契約締結の日前、5年以内に出入国や労働に関する法令に関して不正・不当な行為をしていないことなどがあります。
3.特定技能雇用契約を結ぶ会社等は、登録支援機関に計画の全ての実施を委託することができますが、この場合も上記の基準に適合しなければなりません。
4.特定技能雇用契約を結ぶ会社等は、雇おうとする外国人が活動を安定的かつ円滑に行うことができるように、職業生活上、日常生活上、社会生活上の支援の実施に関する計画を作成しなければなりません。(計画は、法務省令で定める基準に適合しなければなりません。)
入国に際して
1.在留資格「特定技能」の外国人が入国するときは、一号特定技能外国人支援計画が法律の規定に適合することも審査されます。
一号特定技能外国人支援計画は、特定技能の外国人を雇う会社等が、安定的かつ円滑に活動ができるように、職業生活上、日常生活上、社会生活上の支援の実施について作成する計画です。
2.他の在留資格と同様に、あらかじめ在留資格認定証明書を取ってから上陸することになります。
3.特定技能の受入れ産業となっている分野で人材が確保されたときは、主管大臣が法務大臣に在留資格認定証明書の交付の停止を求めることになっています。
届出について
外国人本人の届出
在留資格「特定技能」の方が働いている、会社等の名称や所在地が変わったときは、14日以内に届け出なければならないとされています。
会社等の届出
「特定技能」の外国人を雇う会社等も一定の事項を届けることになっています。1.契約に変更があったとき、契約が終了したとき、新たな契約をしたとき
2.1号特定技能外国人支援計画の変更をしたとき
3.生活等の支援実施計画を変更したとき
4.その他法務省令で定める場合
会社等の届出2
会社等にはほかにも届出義務があります
1.受け入れている特定技能外国人の氏名、活動の内容など
2.適合一号特定技能外国人支援計画を作成した場合には、その実施の状況
3.特定技能外国人の在留管理に必要なものとして法務省令で定める事項
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