ご訪問頂きありがとうございます。外国人のビザと雇用の専門家中国語が話せる行政書士・社労士の大西祐子です
厚生労働省から、令和7年の「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果」が公表されました。
今回の公表内容を見ると、
「うちの会社は大丈夫」
と思っていても、一度確認しておいたほうがよいことがいくつもあります。
特に、特定技能や技能実習、
今後の育成就労など、外国人を雇用している会社にとって、
賃金不払いは非常に大きな問題になります。
外国人を雇用する場合、
「外国人だから特別に安く雇える」
ということはありません。
日本人であっても外国人であっても、
労働基準法などの労働関係法令を守る必要があります。
今回は、令和7年の賃金不払いに関する監督指導結果と、
外国人雇用をしている会社が確認しておきたいポイントについて書きます。
目次
厚生労働省が公表した資料によると、令和7年に全国の労働基準監督署で取り扱った賃金不払事案は、
22,605件
でした。
対象となった労働者は、
173,016人
未払いとなっていた賃金の総額は、
128億5,782万円
です。
前年と比較すると、件数は251件増えています。
一方、未払い金額は約43億円減少しています。
そして、このうち労働基準監督署の指導によって賃金が支払われ、解決された事案は、
21,731件
全体の96.1%でした。
支払われた金額は、
109億9,703万円
となっています。
賃金不払いは決して珍しい問題ではありません。
そして、労働基準監督署の監督指導によって、
多くの事案が是正されています。
賃金不払いというと、
「そもそも給料を払っていない」
というケースをイメージされるかもしれません。
しかし、実際にはもっと身近なところで発生しています。
例えば、
始業前や終業後の労働時間を一律に切り捨てている。
固定残業代を超えた残業について、追加の割増賃金を支払っていない。
深夜労働について、割増賃金を正しく支払っていない。
といったケースです。
こうした「時間の切り捨て」「固定残業代の超過分未払い」「深夜労働割増の未払い」などが典型的な違反事例として挙げられています。
会社としては、
「15分くらいだから」
「本人も何も言っていないから」
「固定残業代を払っているから」
と考えていても、それだけで問題がなくなるわけではありません。
むしろ、
「今まで何となくやってきた」
という部分こそ、一度確認しておいたほうがよいと思います。
特定技能や技能実習、これから始まる育成就労など、外国人を雇用する会社では、通常の労務管理だけでなく、在留資格との関係も考える必要があります。
特に外国人本人が、
「日本の労働ルールをよく知らない」
「日本語で会社に相談しにくい」
という状況だと、会社側も問題に気づきにくくなります。
その結果、
労働時間の管理が曖昧になる
↓
残業代の計算が正しくできない
↓
外国人本人もよく分からない
↓
未払いが長期間続く
ということも考えられます。
外国人雇用で大切なのは、
「外国人を採用したから、ビザの手続きだけすればよい」
ということではありません。
在留資格、雇用契約、労働時間、賃金、社会保険、就業規則などを、全体として適切に管理する必要があります。
外国人を雇用する会社の中には、
「入管の手続きが終われば大丈夫」
と思っている会社もあります。
しかし、外国人雇用は、在留資格の申請だけで終わるものではありません。
特に特定技能や技能実習などでは、適正な雇用管理が非常に重要です。
賃金を正しく支払っていない。
労働時間を適切に管理していない。
残業代を正しく計算していない。
という状態は、外国人雇用を続けるうえで大きなリスクになります。
今後、育成就労制度が始まっていく中でも、
「外国人を受け入れる会社として、労務管理ができているか」
という視点は、ますます重要になると考えています。
外国人を受け入れる前に、
「在留資格が取れるか」
だけではなく、
「その後、適切に雇用できる会社になっているか」
を確認しておくことが大切です。
では、会社側では何を確認すればよいのでしょうか。
まずは、次の項目を確認してみてください。
始業時間、終業時間、休憩時間、残業時間などを正しく記録しているでしょうか。
「9時始業だから9時になったらタイムカードを押す」
という運用だけではなく、実際に働いている時間を把握することが重要です。
「15分未満は切り捨て」
「30分未満は残業として扱わない」
というような処理をしていないでしょうか。
小さな時間に見えても、積み重なれば大きな未払いになります。
固定残業代を支払っているからといって、どれだけ残業しても追加の残業代が不要になるわけではありません。
固定残業時間を超えた分について、適切に割増賃金を支払う仕組みになっているか確認が必要です。
就業規則や賃金規程、雇用契約書の記載内容についても、実際の運用と一致しているか確認しておきたいところです。
夜勤や深夜営業のある会社では、深夜労働について適切な割増賃金が支払われているか確認しましょう。
飲食店、ホテル、介護、工場など、外国人雇用が多い業種では特に確認しておきたい項目です。
給与計算だけを見るのではなく、
「実際の労働時間」
「タイムカード・勤怠記録」
「賃金台帳」
「雇用契約書」
「就業規則・賃金規程」
が矛盾していないかを確認することが重要です。
もし、
「もしかすると残業代が足りていないかもしれない」
と分かった場合、放置するのはおすすめできません。
自主的に確認し、必要な場合には過去分も含めて是正することが重要です。
厚生労働省の公表内容でも、労働基準監督署の指導によって多くの賃金不払事案が解決しています。
また、会社が自主的に改善しない場合には、重大・悪質な事案について送検されるケースもあります。
厚生労働省は、度重なる指導にもかかわらず法令違反を是正しない事案などについて、厳正に対応するとしています。
「何も言われていないから大丈夫」
ではありません。
問題があるなら、早めに見つけて、早めに直す。
これが一番です。
私は行政書士として外国人の在留資格を扱う一方、社会保険労務士として労務管理にも関わっています。
そのため、外国人雇用のご相談を受けるときには、
「この人のビザが取れるか」
だけでなく、
「この会社は、この人を適切に雇用できる状態になっているか」
というところまで見るようにしています。
外国人の雇用では、
在留資格
↓
雇用契約
↓
労働条件
↓
労働時間
↓
給与計算
↓
社会保険
↓
更新
というように、すべてがつながっています。
最初の申請だけをきれいに整えても、その後の労務管理ができていなければ、長期的には問題が出てきます。
私は、
「その場しのぎの許可」
ではなく、
「更新や、その先の事業継続まで見据えた許可」
を取るお手伝いをしたいと考えています。
外国人を雇うのであれば、
「ビザが取れれば終わり」
ではありません。
外国人が安心して働けること。
会社が安心して雇用を続けられること。
その両方が大切です。
令和7年の賃金不払事案は、全国で22,605件、対象労働者は173,016人、未払い賃金は128億5,782万円でした。
そのうち21,731件、96.1%が労働基準監督署の指導により解決しています。
未払い残業や賃金不払いは、
「大企業だけの問題」
「悪い会社だけの問題」
ではありません。
時間の切り捨て、固定残業代の誤った運用、深夜割増の計算ミスなど、日常的な労務管理の中から発生することがあります。
特に、特定技能、技能実習、今後の育成就労など、外国人を雇用している会社では、
「在留資格の管理」
だけではなく、
「適正な労務管理」
まで一緒に考えることが大切です。
今一度、自社の労働時間と給与計算、雇用契約書、就業規則、賃金規程などを確認してみてください。
そして、
「これで合っているのかな?」
と少しでも不安に感じたら、問題が大きくなる前に確認することをおすすめします。
安く早く外国人を雇えるようにすることだけを考えるのではなく、
「その後も安心して雇用を続けられる仕組み」
を最初から作っておく。
それが、外国人雇用ではとても大切だと思っています。
最後までご覧いただきありがとうございました。今日も良い一日をお過ごしください!
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