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外国人のビザと雇用の専門家 中国語が話せる行政書士・社労士の大西祐子です。
先日公表された「外国人政策提言」。
外国人材の受入れを、人口減少や人手不足への対応として戦略的に進めるべきだという内容です。
一方で、現場では特定技能の受入れ上限に達する、
あるいは達しそうな分野が出てきています。
読んでいて、改めて感じたのはこのことです。
日本は、外国人を受け入れたいのか受け入れたくないのか
安全・安心、適正な在留管理、地域との共生はもちろん大切です。
ただ、人手不足の現場に外国人材を必要としておきながら、
制度運用によって急に受入れを止めるようなことがあれば、
企業にも外国人本人にも大きな影響があります。
政治的なさまざまな動きも感じつつ、
実務の現場にいる者として気になります。
目次
特定技能の受入れ上限が近づいている分野
提言資料では、2025年12月末時点の特定技能1号の在留人数と、
分野別の受入れ上限が示されています。
特に充足率が高いのは、次の分野です。
- 外食業:87.7%
- 飲食料品製造業:70.0%
- 建設:64.9%
- 介護:53.5%
私はこれまで、介護、建設、飲食料品製造業を中心に、
外国人雇用や在留資格の支援をしてきました。
どの業界でも、人手不足は一時的な話ではありません。
採用して、教育して、生活を支え、日本語や職場のルールを身につけてもらい、
やっと戦力として定着していく。
そんな時間のかかる取り組みです。
その中で、受入れ上限に近づいたからといって、
急に在留資格認定証明書の交付が止まるような運用になれば、
企業の採用計画は大きく崩れます。
外食業分野では受入れ見込み数が上限を超えるとして、
2026年4月から一時的に認定証明書の交付停止措置が取られています。
制度上の上限があること自体を否定するものではありません。
しかし、十分な説明や準備期間がないまま運用が変わると、
受入れ企業も、来日を待つ外国人も、登録支援機関も、皆が困ります。
いつも気になる「宿泊」分野
もう一つ、いつも気になっているのが宿泊分野です。
特定技能制度が始まったとき、宿泊業界は比較的早い段階から制度活用に取り組んでいた印象があります。
インバウンド需要への対応、地方の人手不足、接客現場での多言語対応など、外国人材の活躍が期待される場面も多い業界です。
しかし、宿泊分野の特定技能1号在留人数は1,968人で、
受入れ上限14,800人に対する充足率は13.3%です。
介護、建設、飲食料品製造業、外食業と比べると、まだ上限には距離があります。
ただ、制度を率先して活用しようとしてきた宿泊業界と反対に、
技術・人文知識・国際業務でも入りやすい宿泊業界。
今年になって厳しくなった技術・人文知識・国際業務の運用も関係するのかもしれません。
「受入れ上限」ではなく、戦略と現場の両方を見る必要がある
今回の提言では、特定技能1号の受入れ上限について、
各分野の人手不足の状況を改めて検証し、
早急に見直すべきだとされています。
私も、単に枠を増やせばよいということではないと思います。
必要なのは、どの産業に、どの地域に、どのような人材がどれくらい必要なのかを見通した上での受入れです。
そして、受け入れた後に安心して働き、生活し、キャリアを築ける環境を整えることです。
企業にとっては最初は人手不足を補うための存在であっても
優秀な人材として残ってほしい
キャリアを伸ばして活躍してほしい
外国人にとっても出稼ぎで稼ぐ場所から
キャリアを積み上げて活躍したい
長く働いていきたい
双方、様々な思惑が交差します
企業にとっても、外国人本人にとっても、
地域にとっても、納得感のある仕組みが必要です。
技術・人文知識・国際業務ビザも、今後さらに厳しくなるのでしょうか
最近、技術・人文知識・国際業務、いわゆる「技人国」ビザについて、
以前より慎重な審査になっていると感じるご相談があります。
もちろん、個別の許可・不許可は、学歴、職務内容、雇用条件、会社の事業内容、本人の経歴などを総合的に見て判断されます。
「技人国が一律に厳しくなった」とは言えません。
ただ、外国人政策全体が、受入れの拡大だけではなく、管理の厳格化やルール遵守の確認にも重心を置いていることは確かです。
今回の提言でも、適正な在留管理は徹底しつつ、ルールを守り社会に貢献する外国人や、
適正に受け入れる企業にまで過度な規制が及ばないようにすべきだとされています。
このバランスはとても大切です。
不適正な雇用や形式だけの申請は防がなければなりません。
一方で、真面目に採用し、適切な業務を用意し、外国人社員を育てている企業まで萎縮してしまう制度運用では、
日本を選んでくれる人材は減ってしまいます。
外国人雇用は、採用後の仕組みづくりが大切です
外国人受け入れについては
最近大きな政治の話にもなっていますが、企業の現場ではもっと具体的です。
- 必要な人材を、必要な時期に採用できるのか
- 在留資格の手続きは見通しを持って進められるのか
- 日本語教育や生活支援をどうするのか
- 外国人社員が長く働き、キャリアアップできるのか
- 日本人社員や地域と、どう相互理解を進めるのか
制度が変わるときほど、企業には正しい情報と、早めの準備が必要です。
特定技能、技人国、留学からの就職、家族滞在の方の就労など、
在留資格ごとに考えるべきことは異なります。
だからこそ、「とりあえず採用する」のではなく、
外国人雇用の仕組みをつくることが大切だと感じています。
今後も制度の動きを見ながら、現場で起きていることをお伝えしていきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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