労働者死傷病報告の提出義務と実務ポイント【令和7年改正対応】

労働者死傷病報告の提出義務と実務ポイント【令和7年改正対応】

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外国人ビザ専門 中国語が話せる行政書士・社労士の大西祐子です。

労災が発生した際には、労働者死傷病報告の提出が法令で義務付けられています。なお、通勤災害は対象外となるため注意が必要です。

労働安全衛生規則 第97条より

「事業者は、労働者が労働災害その他就業中または事業場内若しくはその付属施設内における負傷、窒息、又は急性中毒により死亡し、または休業したときは、遅滞なく報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。」

労働者死傷病報告の提出ルール

以下の3点を押さえておきましょう。

  1. 休業見込み日数が4日以上の場合
     → 遅滞なく「様式第23号」で報告提出
  2. 休業日数が1~3日の場合
     → 四半期ごとにまとめて「様式第24号」で提出
      ※「休業1日目」とは、「丸1日休んだ日」が該当します
  3. 派遣労働者の場合
     → 派遣元へ報告書の写しを送付

注意点:未報告・虚偽報告は「労災隠し」

労災報告を怠ったり、虚偽の報告をした場合、安全衛生法違反として送検されることがあり、ほぼ起訴・有罪となっているようです。

さらに有罪となった場合、以下のような重大な不利益が生じます:

  • 特定技能外国人・技能実習生の新規受入が5年間不可
  • 現在在籍している外国人労働者を他社へ転職させる必要

「遅滞なく」とは?法律用語の速度感覚

法令で使われる表現の意味合いは以下の通りです:

  • 直ちに:理由の如何を問わず、即座に
  • 速やかに:可能な限り早く(訓示的)
  • 遅滞なく:可能な限り早く、ただし合理的な理由があれば遅延も許容される

実務上、労働基準監督官は「1ヶ月以内」が「遅滞なく」の目安と考えているようです。これを超えると違反と判断されるリスクがあります。

【令和7年1月1日施行】労働者死傷病報告の改正ポイント

2025年1月1日より、労働者死傷病報告の内容と提出方法が大幅に変更され、電子申請が義務化されました。

主な変更点

1. 自由記載から「選択制」へ(コード化)

以下の項目は、日本の公的分類基準に基づき該当するコードを選択する方式に変わりました。

  • 事業の種類:日本標準産業分類から選択
  • 被災者の職種:日本標準職業分類から選択
  • 傷病名・部位:定められたリストから選択

2. 災害発生状況・原因の記載強化

以下5項目について、より具体的な記載が求められます:

  1. 災害が起きた作業場所
  2. 被災時の作業内容・行動
  3. 原因となった物質・機械・環境要因
  4. 発生に至った不安全・有害な状態
  5. 実際に起こった災害の種類・傷病内容

外国人雇用への影響も

特定技能外国人・技能実習生の受入れ要件には、労働関係法令の遵守が厳格に求められます。

仮に法令違反(例:労災隠し)が発覚した場合、

  • 今後の受入不可
  • 現在の外国人労働者も転職対応が必要

という事態に発展します。

また、「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格では、法令上の明示規定はないものの、過去に日本人労働者への違反を理由に不許可となった事例もあると聞いています。

まとめ:報告義務の徹底が外国人雇用の継続に直結

法令に沿った適切な報告・記録管理は、企業としての信頼を守るだけでなく、外国人材を安定して受け入れるためにも不可欠です。

「うちは大丈夫」と思っていても、思わぬトラブルで労災が発生することもあります。万一のときに備え、体制整備と情報のアップデートを怠らないようにしましょう。

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