【2026年10月1日から】外国人従業員のフリガナ氏名の取り扱いが変更|企業が知っておきたい厚生年金の手続き

【2026年10月1日から】外国人従業員のフリガナ氏名の取り扱いが変更|企業が知っておきたい厚生年金の手続き

ご訪問頂きありがとうございます。
外国人のビザと雇用の専門家 中国語が話せる行政書士・社労士の大西祐子です。

外国人従業員を雇用している会社の皆さまは、従業員の「氏名」をどのように管理していますか?

在留カードにはローマ字で氏名が記載されている一方、社会保険の手続きではフリガナを使用することがあります。

さらに、外国人の氏名は、日本人の氏名とは異なる表記になることも多く、「在留カードの氏名」「住民票の氏名」「給与計算上の氏名」「社会保険の届出上の氏名」が完全には一致しないケースもあります。

こうした外国人従業員の氏名確認について、日本年金機構は2026年10月1日から取り扱いを変更します。

今回の変更は、外国人を雇用している会社の人事・総務担当者にとって、知っておきたい重要なポイントです。

この記事では、2026年10月1日から何が変わるのか、そして企業側では何を確認しておけばよいのかを、外国人雇用と労務管理の両方の視点から分かりやすく解説します。

1.2026年10月1日から外国人従業員の「フリガナ氏名」の取り扱いが変更

日本年金機構では、厚生年金保険の資格を取得するときや、被扶養者の認定を受けるときに、フリガナ氏名を届け出ることになっています。

2026年10月1日から、日本国籍を有しない方について、このフリガナ氏名の取り扱いが変更されます。

背景にあるのは、資格取得届に記載された情報と住民基本台帳の情報を照合した際に、外国人の場合、
「生年月日や住所などは一致しているのに、フリガナだけが一致しない」
というケースがあり、本人の特定ができないことがあったためです。

今回の変更では、そのような場合に、ローマ字氏名を利用して本人確認を行う取り扱いが設けられます。

外国人従業員を雇用している企業では、今後、フリガナだけでなく「ローマ字氏名」についても意識しておくことが大切です。

2.なぜ外国人従業員のフリガナ氏名の取り扱いが変わるのか

外国人従業員の社会保険手続きを行う場合、会社は資格取得届などに必要な情報を記載して提出します。

日本年金機構では、届出された情報を住民基本台帳上の情報と突合し、本人を特定したうえで資格取得の決定を行っています。

ところが、外国人の場合には、氏名の表記方法が日本人とは異なることがあります。

例えば、ローマ字で登録されている氏名を日本語のカナにすると、複数の表記方法が考えられることがあります。

その結果、
「会社が届け出たフリガナ」
と
「住民基本台帳上のフリガナ」
だけを比較すると、一致しないケースが発生します。

弊所にも、読み方が違うということでたびたび住基ネットと違うという照会の電話がかかってきました。

そこで、2026年10月1日以降は、フリガナ氏名だけが一致しない場合、一定のケースについてローマ字氏名を使って本人確認を行うことになります。

ここで重要なのは、
「フリガナが違ったら厚生年金に加入できない」
という変更ではないということです。

フリガナ氏名以外の情報が一致している場合でも、フリガナだけが一致しないケースについて、ローマ字氏名による本人確認を行う仕組みが整えられた、と理解するとよいでしょう。

3.これまでの外国人従業員の厚生年金手続き

厚生年金保険の資格取得届では、個人番号(マイナンバー)または基礎年金番号、生年月日、性別、住所などの情報を届け出ます。

該当する場合には漢字氏名も記載し、フリガナ氏名も届け出ます。

マイナンバーを記載した場合には、住所を省略できる取り扱いもあります。

外国人従業員の場合、ここで注意したいのが「氏名情報」です。

例えば、採用担当者が在留カードを見て氏名を登録し、その後、給与計算ソフトや社会保険の届出を作成する際に別の表記を使ってしまうと、社内の情報がバラバラになってしまいます。

外国人雇用では、

  • 在留カード
  • 住民票
  • マイナンバー
  • 基礎年金番号
  • 社会保険関係の届書
  • 給与計算システム
    などに登録されている情報を、できるだけ一貫して管理することが重要です。

雇用保険は紐づかないため、年金のフリガナと雇用保険被保険者証の氏名が異なるケースも出てきてしまいます。

4.2026年10月1日以降、フリガナだけが一致しない場合はどうなる?

ここが今回の制度変更で、企業担当者が最も押さえておきたいポイントです。

2026年10月1日以降、資格取得届に記載された内容と住民基本台帳上の情報を突合した結果、「フリガナ氏名だけが一致しない」という場合には、外国人従業員の状況に応じて対応が分かれます。

大きく分けると、次の2つのケースがあります。

ケース1:日本に入国して初めて厚生年金に加入する場合

入国後、初めて年金制度に加入し、厚生年金保険の資格を取得する方で、個人番号は持っているものの基礎年金番号を持っていない方については、従来どおり「厚生年金保険被保険者 ローマ字氏名届」を提出します。

そのローマ字氏名と住民基本台帳上の情報を照合し、ローマ字氏名が一致すれば本人を特定します。

そのうえで、資格取得届に記載されたフリガナ氏名をもとに資格取得の決定が行われます。

つまり、外国人従業員の採用時には、フリガナだけでなく、ローマ字氏名も正確に確認しておくことが重要になります。

5.初めて厚生年金に加入する外国人の場合|ローマ字氏名届に注意

「ローマ字氏名届」という言葉を初めて聞いた方もいるかもしれません。

外国籍の従業員を採用した場合、一定のケースでは「厚生年金保険被保険者 ローマ字氏名届」を資格取得届とあわせて提出します。

この届書にはローマ字氏名を記載します。

日本年金機構の案内では、ローマ字氏名について、在留カード、特別永住者証明書、住民票などに記載されている氏名を確認して記入することとされています。

ここで注意したいのが、「会社が普段使っている英字表記」をそのまま使えばよいとは限らないという点です。

外国人従業員から提出された情報だけを見るのではなく、在留カードなどの公的な書類と照合して確認することが大切です。

また、ローマ字氏名届を提出した場合でも、日本年金機構から送付される通知書などではカナ氏名が表示される場合があります。

したがって、
「ローマ字氏名を登録したから、社会保険関係の書類が全部ローマ字になる」
という意味ではありません。

この点も、外国人従業員本人に説明しておくと安心です。

6.転職して厚生年金に再加入する外国人の場合

もう一つ重要なのが、転職などによって厚生年金保険の資格を再取得する外国人従業員です。

この場合、ローマ字氏名が確認できる書類を提出すると、その書類に記載されたローマ字氏名と住民基本台帳上の情報を照合することがあります。

日本年金機構が例として挙げているのは、

  • 在留カードのコピー
  • パスポートのコピー
  • 個人番号の記載がない住民票

などです。

なお、本人を特定するため、ローマ字氏名が確認できる書類の提出を求められる場合もあります。

企業側としては、「転職してきた外国人だから、前の会社の手続きと同じだろう」と考えず、今回の資格取得について必要な確認を行うことが大切です。

7.外国人従業員を採用する会社が確認しておきたい3つのポイント

ここまでの内容を、企業の人事・総務担当者向けに3つにまとめます。

ポイント1 在留カード等の氏名表記を確認する

まず確認したいのは、外国人従業員の公的な氏名表記です。

特にローマ字氏名については、在留カードなどの公的書類と照合しておきましょう。

「本人がメールで教えてくれたローマ字表記」と「公的書類のローマ字表記」が違うこともあります。

社会保険手続きを行う担当者が、採用担当者から受け取った情報だけで処理しない仕組みを作っておくと安心です。

ポイント2 資格取得届のフリガナを確認する

次に、資格取得届に記載するフリガナです。

外国人の氏名をカナ表記にする場合、表記方法が複数考えられるケースもあります。

そのため、

「いつも社内で使っているフリガナだから大丈夫」

ではなく、今回の届出に使用する氏名情報を確認しておくことが重要です。

ポイント3 初めて加入する人か、再取得する人かを確認する

今回の変更では、

「日本に入国後、初めて年金制度に加入する人」
と
「転職などによって厚生年金を再取得する人」
で対応が異なります。

そのため、外国人従業員を採用した際には、氏名だけでなく、
「この人は日本で初めて厚生年金に加入するのか?」
という点も確認しておきましょう。

8.外国人雇用では「在留資格」だけでなく「労務管理」も重要

私は外国人雇用のご相談を受けるとき、「在留資格が問題なければ大丈夫」とは考えていません。

もちろん、外国人を雇用するうえで在留資格の確認は非常に重要です。

しかし、実際に会社で働いてもらう段階になると、

  • 雇用契約
  • 労働条件
  • 社会保険
  • 給与計算
  • 労働時間
  • 在留期間
  • 在留資格に応じた仕事内容

など、確認することはたくさんあります。

さらに、外国人従業員の場合には、氏名の表記や本人確認書類など、日本人従業員とは少し違った管理が必要になることがあります。

だからこそ私は、外国人雇用を「入管の手続き」と「会社の労務管理」に分けて考えるのではなく、一人の従業員を長く安心して雇用するための一連の仕組みとして考えることをおすすめしています。

行政書士として入管業務に携わり、社会保険労務士として労務管理にも関わってきた経験からすると、両方の視点を持っておくことは、企業にとって大きな意味があります。

9.外国人従業員の社会保険手続きで会社が困ったときの考え方

外国人雇用では、「どの書類を出せばいいのか」だけでなく、「どの情報を基準に管理するのか」という視点が大切です。

例えば、
「在留カードではこの氏名」
「会社の給与システムではこの氏名」
「社会保険では別のフリガナ」
「雇用保険はまた別の氏名」
という状態になっていると、後から確認が必要になったときに担当者が苦労します。

そこで、外国人従業員を採用した際には、最初に本人確認書類を確認し、その情報をもとに社内の各種手続きを進めるという流れを作っておくとよいでしょう。

特に外国人を複数名雇用している会社では、担当者個人の経験や記憶だけに頼らないことが重要です。

「外国人だから特別なことをする」のではなく、
「外国人雇用で起こりやすい確認ポイントを、会社の採用・労務管理の仕組みに組み込んでおく」
という考え方がおすすめです。

10.まとめ|外国人雇用は「採用できたら終わり」ではなく、その後の管理が大切

2026年10月1日から、日本国籍を有しない方について、厚生年金保険などの手続きにおけるフリガナ氏名の取り扱いが変わります。

今回の変更で特に重要なのは、
「資格取得届のフリガナ氏名と住民基本台帳上の情報を照合した際、フリガナだけが一致しない場合に、ローマ字氏名を使って本人確認を行うケースがある」
という点です。

外国人従業員を雇用している会社では、これを機会に次の項目を確認しておきましょう。

【外国人雇用チェックリスト】

□ 在留カード等の氏名表記を確認している

□ ローマ字氏名を確認している

□ 資格取得届に記載するフリガナを確認している

□ マイナンバー・基礎年金番号の状況を確認している

□ 日本で初めて厚生年金に加入する人か確認している

□ 転職等による資格再取得なのか確認している

□ 必要に応じてローマ字氏名届や確認書類を準備できる体制がある

外国人雇用では、入管の手続きだけを見ていても、会社の労務管理だけを見ていても十分ではありません。

在留資格、雇用契約、社会保険、労働条件、在留期間などを一つの流れとして考えることが大切です。

私は行政書士・社会保険労務士として、外国人の「申請」だけではなく、その後も日本で安心して働き、暮らしていけることを大切にしています。

外国人雇用は、採用できたら終わりではありません。

「採用する」
「適切に雇用する」
「社会保険などの手続きをする」
「在留期間の更新をする」
「長く安心して働いてもらう」

この一連の流れを最初から考えておくことが、会社にとっても外国人従業員にとっても、安心につながります。

外国人雇用について、「このケースはどう対応すればいいのだろう?」と迷ったときは、入管だけ、労務だけという切り口ではなく、雇用全体を見ながら整理してみてください。

外国人が日本で安心して、安定して暮らせる未来をつくる。

そのために、企業の皆さまにも「採用後まで見据えた外国人雇用」を考えていただければと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。
今日も良い一日をお過ごしください!

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